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たとえばアメリカでは、「ここ10年間で、評価要素としての「目標達成度」(それもジョブーディスクリプション〈職務の内容記述〉を基準にしたもの)が著しく増加し、評価要素としての「個人的性格」「潜在能力」が著しく減少した」。 しかし日本では、実績にとどまらず潜在能力も、それに情意(態度、性格)も査定されている。
この多面性がなければ、フレキシビリティと生活態度の評価は不可能だからである。 その3は人事考課のくりかえし性、長期性である。
企業ごとの考課名称はさまざまではあれ、主として昇格や昇進の決定に用いられる能力考課は2年に1度くらい、主として昇給やボーナスの決定に用いられる実績評価と、それらすべてにかかわる情意考課は毎年おこなわれるという。 早期の段階で将来のコースをきめてしまうような決定的な選抜をさけて、サラリーマンをどの年齢・勤続段階でもそれなりにがんばらせる工夫に、この査定のくりかえし性が見合っていることはいうまでもあるまい。

こうして、日本型能力主義管理は、それと整合的な日本型人事考課を通じて行使されている。 それはいわば「強制された自発性」を喚起して、日本の男性サラリーマンの多くを世界に冠たる働きぶりに押しやっている。
総括的にいってみごとな労務管理というべきであろう。 だが、このような労務管理に対してもいま経営者がある変革を加えようとしているとすれば、企業の感じる不十分さはどこにあるのか。
なにが維持され、なにが変えられようとしているのか。 次節でこの問題を考えてみよう。
4現時点における「日本型」の改革「制度は能力主義的、運用は年功的」日本企業の国際競争力を大いに減殺する円高、労働者構成の高齢化と高学歴化、結果としての為替レート換算の賃金コストの増大。 それらのインパクトを受けて、日本の経営者はいま、たしかに能力主義管理のいっそう徹底的な行使を決意している。
その問題意識は、さしあたり第1期を迎えるときのそれと連続的である。 調査をうけた大企業人事担当者の17.4%が「制度も運用も年功的」、46.6%が「制度は能力主義的だが、運用は年功的」と答えている。
第1期を通じての年齢別賃金格差の予想以上の健在ぶりもあわせて考えてみよう。 日本の経営者はなお、「年の功」制度がかなり残っており、第1期以降の「年と功」制度も運用が甘いと判断しているようだ。
それゆえ、今後の政策も「抜擢」を別にすれば第1期に追求されたものと等しく、昇進、昇格の選別強化、昇給の査定幅拡大、高齢者の賃下げなどである。

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